赤銅(しゃくどう)
漆黒 色付け:燻べ(くすべ)
よく磨いた銅または真鍮地金を、杉の葉や檜、松の鉋屑を燃やした煙で燻べる。これを何度も繰り返し、煙の中の煤とヤニを丹念に付着させる。仕上げには、油、イボタ、透漆を用いる。伝統的なこの色付けは、高級襖引手の代表的な仕上げであり、他の方法では表すことの出来ない深い味わいがある。本来、赤銅とは銅と金の合金で、緑青、硫酸銅で煮込むことにより、紫黒色の優雅な色調となるものであるが、襖引手では、くすべで色付けしたものを赤銅と呼ぶ。
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うるみ
焦げ茶色 色付け:漆塗
漆に松煙とベンガラを加え、丹念に良く混ぜたものを、銅または真鍮地金に数度に分けてよく塗りこみ、時間をかけて弱火で焼き付ける。この色仕上げも古くから受け継がれた伝統的なもので、漆独特の深い味わいのある風雅な趣は、現在も幅広く好まれている。
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五郎三(ごろさ)
あずき色 色付け:漆塗
漆にベンガラを加え、丹念に混ぜ合わせたものを、銅または真鍮地金に数度に分けてよく塗りこみ、時間をかけて弱火で焼き付ける。うるみと同じく、伝統的な色仕上げであり、幽玄とも雅とも感じられる色合いの微妙さから、特に好事家から珍重されることが多い。
五郎三と言う名は昔の職人の名前に由来したものである。 |
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素銅(すあか)
オレンジ色 色付け:煮込み
よく磨きだした銅地金を、緑青、硫酸銅に入れた銅なべで、時間をかけてじっくり煮込む。仕上げには、イボタ、透漆、ニスを用いる。くすべ、漆塗と同じく伝統的な色付け方法であり、仕上がりは、朱の薄い色になり、その微妙な色ぶりが奥ゆかしいあでやかさを醸し出す。
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宣徳(せんとく)
からし色 色付け:煮込み
よく磨きだした真鍮地金を、緑青、硫酸銅で時間をかけてじっくり煮込む。仕上げには、透漆、ニスを用いる。仕上がりは、こくのある落ち着いたからし色になる。中国、明の宣宗帝の勅により、宣徳三年に製した銅器が、宣徳の起源であり、そこからこの名が由来するといわれている。
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